えびの市:アバンダント白鳥郷土の森

 アバンダントは、地元えびの市によって冠された単語で、英単語に“abundant”とあり、1 豊富な, あり余るほどの、 2 [場所が](…に)富んだ, 豊かな という語義のようですから、「白鳥の(自然)豊かな郷土の森」と読むことができそうです。

 霧島山系のえびの高原の東端に甑岳(こしき-だけ)があり、郷土の森はその北西に広がる満谷国有林の一画にあります。

 この郷土の森は、学術的価値の高い貴重な森林を将来にわたって保全し、市民の保険休養や教育の場などに活用するためとして、2001年に九州森林管理局とえびの市が 保存協定を結び、保護林に設定されました。

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 えびの市白鳥は、東大寺大仏殿の屋根を支える梁、大虹梁(だいこうりょう,大紅梁とも)に用いられているアカマツを産した地として知られています。

 奈良の大仏は、天平15年(743)聖武天皇が盧舎那大仏建立の勅願を発令して建立され、天平勝宝4年(752)に大仏殿が完成しますが、治承4年(1180)平重衡の軍勢によって焼かれます。 その後、重源上人によって再興(材は周防)されますが、永禄10年(1567)三好・松永の乱で再焼失します。貞享元年(1684)僧公慶が再建を出願したものの、大屋根を支える梁の材料 となるアカマツの大木は見つからなかったと言います。

 元禄15年(1702)になって、霧島山中(白鳥)に54mのアカマツ2本が発見され、元禄17年(1704)1月白鳥神社から切り出されます。鹿児島領内の搬送に延べ10万人、牛4千頭を要し、9月奈良に到着しました。
 大虹梁2本の重量は44トン、支える屋根の重量は3020トンだそうです。
 その白鳥神社は、左の写真(見えませんが)左手に当たります。

写真上:右のなだらかな尾根が郷土の森で、谷川は白鳥川です。
    写真奥の左に加久藤、右に飯野方面が見えます。

写真下:国有林林道終点からの郷土の森外観です。
   (林道は、申請して鍵を借りないと入れません。)

写真右:同上。南北に細長い斜面で、ここはほぼその中間点です。

郷土の森の面積は、約85ヘクタールあります。
斜面上部はモミ・ツガを主とする巨木林で、下層にシキミなどの低木が生い茂っています。

斜面下部はシイ・カシ類の巨木林で、イスノキの群集も見ることが出来ます。
小径は、縦に長い森を貫き、巨木の間を縫っていきます。

イスノキの巨木群。
幹周3メートル未満ですが、林立するイスノキには感動します。

小径を曲がると突然眼前に現れる巨樹に圧倒されます。
中央に見えるのは、この森最大のスダジイです。右はイスノキ。

さぁ!これから郷土の森の巨人たちを紹介しましょう。

種として県内最大のアカガシ(ブナ科) 幹周:665cm 樹高:21m

アカガシbQ 幹周:412cm 樹高:17m
幹は空洞で、裂け目から涼風が吹き出していて神秘的です。

アカガシbR 幹周:390cm 樹高:23m

マンサク科イスノキ 幹周:263cm 樹高:20m
斜面中央付近では、このくらいの大きさが多く見られます。
下部のイスノキ群落には、もっと大きいのがありそうです。
それにしても、地球を鷲づかみという感じの逞しさです。

種としてこの森最大のスダジイ(ブナ科)です。
幹周:635cm 樹高:15m

スダジイbS 幹周:463cm 樹高:23m

スダジイbQ 幹周:552cm 樹高:18m(写真左:斜面上から,写真右:斜面下から)

巨木が枝を広げると、その下には空間が広がります。
スダジイbR 幹周:466cm 樹高:21m

歩けば巨木に当たる、散策するだけで楽しい森です。 スダジイbT 幹周:435cm 樹高:22m

〔写真下〕スダジイ 幹周:375cm 樹高:23m
     この太さのスダジイが数多く見られます。

〔写真右〕ツガ(マツ科) 幹周:455cm 樹高:25m
     ツガは幹が通直で、絵になりにくい樹種のひとつです。
     このツガは斜面中央部、上部の群落に期待できそう。

岩上のツガ 幹周:403cm 樹高:25m 斜面下方に回ってみると、大きな岩の上でした。逞しい生き方です。

林道終点から往復2kmほどの行程でした。お疲れさま!


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