綾の自然:照葉樹林の巨木たち(綾町・川中)

 綾町の中心部から、県道26号(宮崎須木線)を小林市(旧須木村)に向かって行くと、西のはずれに川中キャンプ場があります。対岸一帯は国有林ですが、 その一部が素晴らしい巨木の森を形成しています。
 今や全国に知られるようになった綾の照葉樹林は、明治19(1886)年、同町の竹野(たけんの)に綾小林区署(しょう-りんくしょ=現森林管理署)が置かれて管理されました。 当時の木材搬出は、主に森林軌道によって行われ、昭和初期までは犬トロッコであったそうです。犬トロッコは、機関車が導入された昭和6年以降次第に廃れ、 それと同時に伐採が奥地化していきました。

 伐採が奥地化するに連れ、モミ、ツガ、ケヤキ、イチイガシなどの大径材が産出され、最大級の木材としては、直径2メートル・樹高45メートル・材積約45立方メートルのモミ、 直径1.8メートル・樹高40メートル・材積約29立方メートルのケヤキが記録されています。
 この一帯の森林は、昭和中期までには伐り尽くされ、今見ることのできる照葉樹林のほとんどは萌芽、あるいは種子繁殖によって更新された二次林です。

※犬トロッコ:森林軌道は一般的に下り勾配のため、下りはトロッコの自重が生み出す自走能力に頼り、人はブレーキによる速度の加減を担当しました。犬は上りに使われ、 空車1台を3〜5頭の犬で引いたと言います。下りには、トロッコに満載した木材・木炭の上に犬を乗せて連れ帰りました。
 現在の綾南川沿いに走る県道26号と綾北川沿いに走る県道360号(田代八重綾線)は、この森林軌道跡が利用されています。

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トロッコ鉄道


 上の写真は、昭和30年頃の綾南川の森林軌道で、トロッコが15台前後連なっていることや、人の大きさから木材の太さが分かります。また、背後の斜面が伐採された様子などをうかがい知ることができます。
 付近には、俗に「腹巻(はらまき)」と呼ばれ、伐採作業員が腹に命綱を巻いて作業したとされる急斜面が散在します。

 下は、川中の巨木林を対岸の県道から見た光景で、目の高さほどに軌道跡(現九州自然歩道)があります。
 ほとんど二次林ですが、中には木材として使い物にならないため残されたものもあるかも知れません。

照葉樹林の外観その1 照葉樹林の外観その2




イチイガシNo.1その1 イチイガシNo.1その2


 上下4枚:自然歩道の路肩で生きる幹周:490cm,樹高:39mのイチイガシ(ブナ科)。左上は歩道方向、右下は歩道山手から見ています。
 根元の傷が原因と考えられる腐朽が進んでいることが、きのこの発生状況で分かります。

イチイガシNo.1その3 イチイガシNo.1その4

 次は、この森bSのイチイガシで幹周:420cm,樹高:38mです。ここではイチイガシの巨木が最も多く見られます。

イチイガシNo.4その1 イチイガシNo.4その2
タブノキその1 タブノキその2


 この森の主と呼ぶにふさわしい幹周:520cm,樹高:18mのタブノキ(クスノキ科)です。巨樹の会主宰の平岡画伯が、 「素晴らしい!こんなに通直なタブノキは見たことがない」と絶賛されましたが、縦長の絵は描き辛かったようです。
 下右は、イチイガシ(左、幹周:225cm)とイスノキ(右、幹周:215cm)の狭間からタブノキを眺めるの図です。

タブノキその3 タブノキその4

マンサク科のイスノキも数多く見ることができます。 この樹は幹周:323cm,樹高:15mで、崖にしがみついています。
私にとっては意外でしたが、ムクロジ(ムクロジ科,幹周:313cm,樹高:25m)がありました。

イスノキ ムクロジ

樹姿がホルトノキに似ているので、そう信じ込んでいました。いつも平岡画伯と御一緒の大野さんから指摘され、一緒に葉を採って調べたところ、 同じホルトノキ科のコバンモチと判明しました。幹周:315cm,樹高:20mで、宮崎の地でこの大きさのコバンモチは大発見です。

コバンモチその1 コバンモチその2

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